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あひるとさる

寺田寅彦随筆集 第五巻

寺田 寅彦

寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第五巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:あひると猿、疑問と空想、映画と生理、映画雑感(Ⅲ)、映画雑感(Ⅳ)、災難雑考、三斜晶系、糸車、詩と官能、自由画稿、小浅間、小爆発二件、地図をながめて、天災と国防、日本人の自然観、破片、俳句の型式とその進化、俳句の精神、物売りの声、B教授の死。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 194,515 字 · 389 页

青空文庫

五重の塔のごときは特例であるが、あれの建築に示された古人の工学的才能は現代学者の驚嘆するところである。

床下の通風をよくして土台の腐朽を防ぐのは温湿の気候に絶対必要で、これを無視して造った文化住宅は数年で根太が腐るのに、田舎の旧家には百年の家が平気で立っている。ひさしと縁側を設けて日射と雨雪を遠ざけたりしているのでも日本の気候に適応した巧妙な設計である。西洋人は東洋暖地へ来てやっとバンガローのベランダ造りを思いついたようである。

障子というものがまた存外巧妙な発明である。光線に対しては乳色ガラスのランプシェードのように光を弱めずに拡散する効果があり、風に対してもその力を弱めてしかも適宜な空気の流通を調節する効果をもっている。

日本の家は南洋風で夏向きにできているから日本人は南洋から来たのだという説を立てた西洋人がいた。原始的にはあるいは南洋に系統を引いていないとも限らないであろうが、しかしたとえそうであっても現時の日本家屋は日本の気候に適合するように進化し、また日本の各地方でそれぞれの気候的特徴に応じて多少ずつは分化した発達をも遂げて来ている。屋根の勾配やひさしの深さなどでも南国と北国とではいくらかそれぞれに固有な特徴が見られるように思われる。