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あひるとさる
寺田寅彦随筆集 第五巻
寺田 寅彦
寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第五巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:あひると猿、疑問と空想、映画と生理、映画雑感(Ⅲ)、映画雑感(Ⅳ)、災難雑考、三斜晶系、糸車、詩と官能、自由画稿、小浅間、小爆発二件、地図をながめて、天災と国防、日本人の自然観、破片、俳句の型式とその進化、俳句の精神、物売りの声、B教授の死。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 194,515 字 · 389 页
今から何万年の後に地球上の物理的条件が一変して再び犀かあるいは犀の後裔かが幅をきかすようになったとしたら、その時代の人間――もし人間がいるとしたら――の目にはこの犀がおそらく優美典雅の象徴のように見えるであろう。そういう時代が来ないという証明は今の科学ではできそうもない。
犀について言われることは人間の思想についてもほとんど同じように言われはしないか。
この映画でいちばん笑わされるのは「めがね猿」を捕えるトリックである。揶子の実の殻に穴をあけその中に少しの米粒を入れたのを繩で縛って、その繩の端を地中に打ち込んだ杭につないでおく。猿がやって来て片手を穴に突っ込んで米を握ると拳が穴につかえて抜けなくなる。逃げれば逃げられる係蹄に自分で一生懸命につかまって捕われるのを待つのである。
ごちそうに出した金米糖のつぼにお客様が手をさし込んだらどうしても抜けなくなったのでしかたなく壺をこわして見たら拳いっぱいに欲張って握り込んでいたという笑話がある。こんな人間はまず少ないであろうが、これとよく似た係蹄に我れとわが手にかかって人の虜になり生き恥をさらす人は実に数え切れないほど多数である。