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しょうもんだいだいもんだい
小問題大問題
佐々木 邦
「現代」大日本雄辯會講談社、1927(昭和2)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,957 字 · 23 页
然もなければお小言だ。罷り間違えば一番いけないことかも知れない。昇給は庶務課から辞令を交附される丈けで専務の手を煩わさない。曽谷君が手間を取るにつれて、親友の津島君は不安になった。三十分ばかりして帰って来た時、突然、
「何うだったい?」
と訊いて見た。
「長々お世話になりましたが……」
「馬鹿を言うなよ」
「いや、イヨ/\今度は……」
「真正かい?」
「冗談だよ。君、実は芽を吹いた。後から話す」
と曽谷君は周囲を憚るように囁いた。
「津島さん、専務さんが一寸お出下さいと仰有います」
と又重役室の給仕が現れた。津島君は曽谷君と顔を見合せた。
「悪いことじゃないよ」
と曽谷君は給仕を見送りながら保証した。
例によって葉巻を銜えて、鬼瓦の従弟のような顔をしていた老専務は、津島君のお辞儀に対して、
「さあ」
と椅子を指さした。
「はあ」
と津島君は腰を下して様子を窺った。
「一つ君に考えて貰いたいのだが……」
とまで言って、専務は噎せ返った。ゴホン/\と苦しそうに咳き込む。喘息が持病なのに葉巻を放さない。津島君は吉か凶か未だ分らなかった。
「……長崎の支店が明くが、君は九州くんだりまで行く気があるかね? 厭なら、庶務課の方へ廻って貰っても宜い。