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しょうもんだいだいもんだい

小問題大問題

佐々木 邦

「現代」大日本雄辯會講談社、1927(昭和2)年6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,957 字 · 23 页

青空文庫

「いや、男の子も津島君のところのようなら安心だけれど、僕の家のようじゃ女の子の方がいくら増しだか知れない」

と羨んでくれた。これも異存なかったが、長男が高等学校へ入るまでにはと、不惑この方密かに第二期を画していたものだから、

「一体何うしてくれるのだろうな?」

と又急に痺れが切れ始めた。

「君、この頃は滅多に不平も言えないぜ」

と入社以来机を並べている同僚の曽谷君が注意してくれた。

「何故?」

「馘首があるってことだ」

「それは聞かないでもないが、真正か知ら?」

「真正とも。確かな筋から出ている」

「あれば何時だろう?」

「一遍にやると目立つから、何時ってことはない。ポツリ/\だそうだ」

「厭だね。散々待った上に馘首じゃ溜まらない」

と津島君は気味が悪くなった。

重役室の給仕が曽谷君を呼びに来たのは、それから半月ばかり後のことだった。

「専務さんが一寸お出下さいと仰有います」

「うむ? 僕かい?」

と曽谷君は意外の面持ちで確めた。平社員は重役室から一寸と来ると誰しも恐れを為す。狂言にもある通り、汝を呼び出す余の儀でない。香しくない事に相場が定っている。精々上等のところで何か小面倒な調査を明日の今頃までになぞと言って仰せつけられる。