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しょうもんだいだいもんだい

小問題大問題

佐々木 邦

「現代」大日本雄辯會講談社、1927(昭和2)年6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,957 字 · 23 页

青空文庫

「然うさ。近い代りに選択の余地なしだ。あの方が考える世話がなくて宜い」

「あなた、課長からは支店長になれませんこと?」

と細君は今まで課長が目標だったが、もう慾張り始めた。

「なれるさ。課長と支店の次席は丁度同じような格式だ」

「それじゃ課長が宜いわ」

「しかし支店次席も悪くない。本店で定り切った仕事をしているよりも支店の方が認められ易い。課長で終るものはあるが、支店次席でお仕舞いになるものはない」

「それじゃ支店次席が宜いわ」

「しかし子供の教育ってことがある。清も一高へ入ったし、滋も再来年だろう? 長崎には高等学校がないから、皆離れ/″\になってしまう。これからが大切の時だからね」

「何年ぐらいで帰って来られますの?」

「支店廻りを始めたら一生さ。重役にでもなれば兎に角、まさか平社員で帰って来られまい」

と津島君はもう平社員を見限ったような口調だった。

「女の子達は皆田舎の女学校を卒業するんでございますわね?」

「然うさ。縁談も田舎だ」

「あなた。矢っ張り課長の方が宜うございますわ」

と細君は定見がない。

「まあ/\、今夜ゆっくり相談しよう。専務が何方か選べと言うのだから意味があるに相違ない。