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しょうせいのあけくれ
小生のあけくれ
北大路 魯山人
「春夏秋冬 料理天国」1959(昭和34)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,466 字 · 3 页
小生はこれを見て、食の世界については、まったく無知な人間のいかに多いかに驚くのである。自分の真から好む食物というものに自覚がないのである。
山鳥のように、野獣のように自分の好むものばかりを次から次へとあさって、充分な栄養を摂る人間の自由を知らないのである。いつの時代からの慣習かは知らないが、この点家畜となんら異なるところがないようである。
小生の考えからすると、おあてがいの食物では、その人その人に当てはまる完全な栄養は摂れるものでないと判断している。美食生活七十年、自分が心底から好む食物をもって、健康を作る栄養としている小生とは大分かけ離れているようだ。食品の高い安いとか、名目とかには決して囚われないようにしている。
これでこそ、自己に完全なる栄養は摂れ、健全が保たれるのだと確信している。その証拠に、白頭翁といわれる今日まで、小生は病気を知らない。およそ病気と称するものはなに一つない。うまいものを食って、寝たいだけ寝る。野鳥の自然生活にすこぶる似ているのが、小生のあけくれである。
早寝、遅起き、昼寝好き、八時間以上十二時間は寝る。眼が覚めたとなれば常人の幾倍かの仕事をする。