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しょうねんれんめい

少年連盟

佐藤 紅緑

「少年倶楽部」1931(昭和6)年8月号~1932(昭和7)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 110,920 字 · 219 页

青空文庫

身軽になったのを喜ぶように、たこはふたたび空高くまいあがり、北東のやみにとびさった。

まもなく富士男の頭が、水面に浮かんだ。かれは立ち泳ぎをしながら、のみこんだ水をはきだすと、頭をめぐらして方角を見さだめた。目測で岸までは、約百メートルの見当だ。

「案外、近いぞ」

富士男はゆっくりと、得意の平泳ぎをはじめた。

一方、広場の一同は、意外のできごとにぼうぜん自失した。

「たこを追っかけろ、見失ってはたいへんだ」

とゴルドンがさけぶと、まっさきにかけだした。

「兄さん」

と次郎がつづいた。一同はバネじかけの人形のように走りだした。

「富士男君」「富士男さん」

先頭のゴルドンが、とつぜん足をとめてつったった。ドノバンがさけんだ。

「休んじゃいけない」

「いや、ドノバン、これから先は走れない」

「どうして?」

おいついたドノバンが前方をすかして「あっ!」とさけんだ。

「湖だね」

ふたりはまたしてもぼうぜんと腕を組んで、やみにほの白く光る湖をにらんだ。まもなくかけつけた一同も、ふたりの黙然たるすがたと、ほの白く光る水面を見くらべて太いといきをもらした。

「だめだ」

「チェッ! おれはなぜここに、ボートの用意をしておかなかったのだろう」