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やまだちもんどう

山だち問答

山本 周五郎

「講談雑誌」博文館、1946(昭和21)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,163 字 · 32 页

青空文庫

ような文字が書いてあった。

売申す身命の事

一騎当千のつわものども十五名一党、食禄千石にて身命を売りたし、但し頼みがたき主には当方より断わり申す事

天和三年吉日 伊吹山住人  赤松六郎左衛門

玄一郎がそれを読んでいるとき、その一党のほうへ馬上の侍が近寄っていった。槍奉行の佐田権太夫である、彼は右手に素槍をかいこみ、馬上からのしかかるような姿勢で、「このあぶれ者ども、退散せぬか」と絶叫した、「……素槍、鉄砲を持って城下に押入り、追手先を騒がせるとは重罪に当るぞ、おとなしく退散すれば見のがしてやる、さもなければ押包んで討ち捨てにするぞ」

「面白いやって貰おう」一党の中からずぬけて巨きな体躯の男が立ちあがった、彼は五尺もありそうな野太刀を背にかけ、手には筋金入りの六角棒を持っていた、「……戸田殿は徳川家の名門だ、その本城の追手先でひと合戦できれば、面目といえよう、遠慮は無用さあお掛りあれ」彼はそう喚き返すなり、片手をあげて仲間を呼びかけた。

「火繩をかけろ、ひと戦だ」

「おのれ申したな」権太夫はぐっと馬の手綱をひき絞った、「……さらばその首十五討ち取って曝し物にして呉れるぞ、咆えるな」