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やまだちもんどう

山だち問答

山本 周五郎

「講談雑誌」博文館、1946(昭和21)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,163 字 · 32 页

青空文庫

七

矢内又作であった。

「此処にいる」玄一郎は出ていった。

「大変なことがもちあがったぞ」又作は駆け寄りながら片手を振った、「……槍、薙刀、鉄砲などを持った十四五人の野武士どもが城下へ踏込んで来た、いま追手先で徒士組の者がとり鎮めようとしているが、火繩のついた鉄砲を振り廻していて近寄れない、なにしろ追手先のことでたいへんな騒ぎになっているぞ」

七

そこまで聞くと玄一郎は足早に家の中へ入ってゆき、すぐに身支度をして出て来た。又作はあっけにとられた、

「貴公どうするのだ」

「徒士組が出たというのに馬廻りの者が黙ってもいられないだろう、他の場所ならいいけれど追手先だからな」

「然しもうその手配はしたんだし、一人や二人にんずが殖えたところで」

だが玄一郎はすでに門のほうへ歩きだしていった。

騒ぎは予想以上だった、追手の広場のまわりにはぐるっと人垣ができ、徒士組の者や足軽たちが右往左往している、馬に乗った番がしらが四五人、なにか指揮したり怒鳴ったりしている姿も見えた。……問題の野武士たちは広場のまん中にいた、みんな鬚だらけで、小具足を着け武者草鞋を穿き、槍、薙刀、棒、鉄砲などの得物を持って、いかにも傲然とふんぞりかえっている、そしてそのなかの一人が、二尺に五尺あまりの高札のような物を押立てていた、それにはかなり達者な筆つきで左の