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やまのうえのきとくものはなし
山の上の木と雲の話
小川 未明
「読売新聞」1922(大正11)年3月22~25日
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 2,629 字 · 6 页
そして、からすが、さもしんせつにいってくれましたので、木は雲の話をして、
「おまえさんは、羽があって、遠いところまで旅をしなさるから、もし、その雲をごらんになったら、私に教えてください。」と、木はからすに向かって頼みました。すると、からすは、
「そうです。私は、海の方へも飛んでゆきます。また広い野原へも、ときには、村へも飛んでゆきます。けれど、このごろはどこへいっても、これと同じ曇った空色で、かつてそんな美しい雲を見たことがありません。私も気をつけていますが、もしつぐみがここにきましたら、よく聞いてごらんなさい。あの鳥は、諸国を飛びまわりますから……。」と、木に向かっていいました。
哀れな木立は、さも頼りなさそうに見えました。からすは、やがて別れを告げて去ってしまいました。それから幾日もたった冬のはじめです。つぐみが、どこからかやってきて、この木の枝に止まりました。木は、からすのいったことを忘れずに、さっそく雲の話をしました。
「つぐみさん、どこかでこんなような雲をごらんになりましたか?」と、木は、鳥に向かって聞きました。
敏捷そうなつぐみは、小さなくびをかしげながら、考えていましたが、