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いけぶくろのみせ

山之口貘詩文集

山之口 貘

山之口貘『山之口貘詩文集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:池袋の店、沖縄帰郷始末記、おきなわやまとぐち、声をあげて泣く、詩とはなにか、装幀の悩み、つまり詩は亡びる、夏向きの一夜、野宿、暴風への郷愁、私の青年時代、ダルマ船日記、チャンプルー。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 44,477 字 · 93 页

青空文庫

ソヴィエット・ロシヤにも

ナチス・ドイツにも

また戦車や神風号やアンドレ・ジイドに至るまで

文明のどこにも人間はばたついてゐて

くさいと言ふには既に遅かつた

鼻はもつともらしい物腰をして

生理の伝統をかむり

再び顔のまんなかに立ち上つてゐた。

この詩を読んで、読者は即座に鼻をつまんでそっぽを向いてしまうのかも知れないが、作者のぼくとしてはそれを無理に、この詩から美を感じてもらいたいと読者に対して頼むわけにはいかないのである。なぜならば、それはまったく詩そのものの罪なのであって、ぼくのとるべき責任ではないからなのである。

汲取屋のぼくはただかゆいところを探しあてて、そこに鼻の問題のあることを見つけ、文明の問題や人間の問題などのあることを見つけたりして、自分なりの感想や批判をもって書いたまでのことで、言葉をかえていうならば、かゆいところを掻かないではいられなかったのである。しかし「鼻のある結論」にしても「座蒲団」にしても、詩とはなにかの問いに対して充分に納得のいく答えであるかどうか、いささか気のひけることではあるが、多少なりとも読者の共感をそそるものがあるとか、味わいをそそるようなところがあるとすれば、どうにか詩らしいものになっているのではないかとおもうのである。