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いけぶくろのみせ

山之口貘詩文集

山之口 貘

山之口貘『山之口貘詩文集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:池袋の店、沖縄帰郷始末記、おきなわやまとぐち、声をあげて泣く、詩とはなにか、装幀の悩み、つまり詩は亡びる、夏向きの一夜、野宿、暴風への郷愁、私の青年時代、ダルマ船日記、チャンプルー。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 44,477 字 · 93 页

青空文庫

つまり詩は亡びる

かつて、アンドレ・ジイドのソヴィエットへの関心を知るや否や、それを以て直ちに、赤化したアンドレ・ジイドと見なしたかのような観方をした人々が、日本の国にあったと記憶する。

彼等は、ジイドのソヴィエット旅行に就て、いよいよジイドが、ソヴィエットから土産として持って帰るものは、赤色ジイドに違いないと想像位はしていたかも知れないのであるが、さて、ジイドの帰りを迎えて見れば、振ら下げて来たものは、相変らず彼の批判や感想やらにまつわりついているソヴィエットからの痛烈な非難であった。

いま、再び世間は、旅行帰りのジイドに就て、色々の検討をなし騒ぎ立てているのにもかかわらず、その声達のなかには、どうしたことか、かつてジイドを赤化したのであるかのように見なしていた彼等の声がきこえないのだ。いま、彼等はどこにいてどのようにジイドを観ていることか。

それを僕が知りたいわけは、かような機会に於てこそ、外国人の所謂、「日本的観方」という日本の姿を見なおして見たいそのためにだ。

これもまた、ジイドの赤化云々が伝えられたその頃のことだった。或る新聞で、或る日本人のジイド訪問記を読んだのであるが、その日本人が、ひとりのフランス人氏同伴でジイドを訪ねての帰途に、ジイドも先ずあの莫大な財産を清算しなくてはなるまい、というような意味のこと