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いけぶくろのみせ
山之口貘詩文集
山之口 貘
山之口貘『山之口貘詩文集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:池袋の店、沖縄帰郷始末記、おきなわやまとぐち、声をあげて泣く、詩とはなにか、装幀の悩み、つまり詩は亡びる、夏向きの一夜、野宿、暴風への郷愁、私の青年時代、ダルマ船日記、チャンプルー。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 44,477 字 · 93 页
事実、沖縄の暴風は、ものすごいもので、五十メートル、六十メートルの奴が吹きまくった。それが、半日や一日ではないのだ。人々は、三日も四日も家屋に閉じこめられていなければならないのである。ぼくの少年のころ、那覇のまんなかにあった大きながじまるの木が、暴風に抵抗できなくなって、その幹のところから折れてしまったことなどあったが、そのがじまるの木は、大人三人ほどでなくてはかかえることのできない大きさの幹をしていたのだ。しかも、この木は、沖縄の木のなかで一番柔軟性のある木なのであって、そんなことから推してみても、どんなに猛烈を極めた暴風であるかはうかがわれるのである。がじまるは熱帯植物で、常緑の喬木で、葉はダ円形、葉肉が厚く、幹や枝から、ひげのように気根を垂れていて、一名榕樹ともいわれている樹なのだ。ぼくの家の井戸端にも、中年のがじまるの木があったが、暴風に身を振り乱している姿を、閉めきった雨戸の節穴からぼくはのぞいていることもあった。沖縄の植物にはその外に仏桑花がある。梯梧がある。福木がある。竜舌蘭、蘇鉄などもある。竜舌蘭や蘇鉄は別として、福木とか梯梧とか仏桑花とかは、暴風にやられてそこらじゅうに青い葉をまき散らした。