轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
いけぶくろのみせ
山之口貘詩文集
山之口 貘
山之口貘『山之口貘詩文集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:池袋の店、沖縄帰郷始末記、おきなわやまとぐち、声をあげて泣く、詩とはなにか、装幀の悩み、つまり詩は亡びる、夏向きの一夜、野宿、暴風への郷愁、私の青年時代、ダルマ船日記、チャンプルー。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 44,477 字 · 93 页
×月×月 土
一体、どれ位の鉄屑を積んだのであろうかときいてみた。百トン以上は積めるんだが、おじさんが乗っているから遠慮して、九十三トンにしちゃった。と、六さんが言うのだった。おじさんとは僕のこと。
だが、鶴見へ行くと二寸位は船が浮き出すという。水と湖との相違なのだ。
夜。雨になったので、六さんはえらいと言ってやった。すると、彼は得意気に、それはおじさん第六感だよと言うのだった。
×月×月 土
雨は上り、陽の光が白く降っていた。
それだのに、船を出すのは夜の八時頃だという。いまは満潮だからであろうか。
この間、亀戸の東京鋼材会社の帰りのことだった。亀島橋という貧弱な橋だったが、その橋にさしかかると、水神丸の図体が大きく反動した。橋をくぐるのではなくて橋にめりこんでしまったのだ。僕は、舵棒に足を払われて倒れ、六さんは、胸壁で押していた棹を川の中へ放っぽり出して、前のめりに舷にとりすがっていた。ふたりが起きあがった時は、水神丸は牛のように船首を橋に突っ込んでいて、船尾を横に振ったなり動こうともしなかった。
ふたりは、舳先の両側に駈け寄って、前こごみにまるめた背中を橋にあてがい、もがくようにしながら、船と橋とを突っ放そうとするんだが、全力をしぼり出してもそれはなお無力をかんじるばかりのことに過ぎなかった。