轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しまもり
島守
中 勘助
「犬 附島守」岩波書店、1924(大正13)年5月10日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,146 字 · 37 页
柳の根もとにある穴から蟹が出てきて不思議そうに見てるのでそっと指をだしたら チカ とはさんでそこそこに穴へ這い込んだ。米をとぎおわる頃にはもう風が立ってきた。洗濯をし、水をあびて帰る。
晩飯には鱒を煮てたべる。湖水の味がする。
桟橋。湖畔の平地だけを残してすっかり霧が包んでしまった。昼は稲を刈り夜なべには稲こきをする と本陣がいったがもう暮れてきたのに田畑にはしきりに人の影がうごいてなにか堆く積まれた。烏の群が鳴きたて鳴きたて後を追って帰ってくるのを眺めてるとおりおり雲がきれて思いがけぬところに夕やけの空がみえたりする。はじめ四方の岡のうえに無数のほしがみえ、やがてそれが孑孑みたいに動きはじめ、次第に大きくなって鳥の形になり、黒い翼がみえ、声がきこえて、それはみな島をめがけて帰ってくる烏だということがわかる。烏こそはまことに鳥族の農夫である。彼らはその強い嘴の鋤をもって終日耕して倦むことをしらない。それゆえ彼らの衣は美しい紺黒に光り、健な唄の声は野に山にひびきわたる。
一の鳥居をくぐったところに島でいちばん綺麗な杉の木がある。一抱えほどの幹と三抱えぐらいのとが根もとから二叉になって幹にも枝にも更紗模様をおいたように銭苔がはえ、どす黒い葉のなかにいちめんに花がさいている。