轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

あらしのよる

嵐の夜

小川 未明

「宗教界」1906(明治39)年11月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,980 字 · 6 页

青空文庫

……父さんを、かねちゃん……かねちゃん、見に行って来てよ。」

泣くかねちゃんを家に残して、母さんは、またも雨風の中に駆け出しました。

破れた小窓の障子をブーム、ブームと風が鳴らして、夜はばったりと暮れてしまいましたけれど、母さんも、父さんも帰って来ません……かねちゃんは、暗がりのまんまで、懐裡にはなにも知らずに眠っているまりを抱いたまましくしくと泣きあかしています。ただ物凄い風の音と、木の葉がぱらぱらと窓や、壁板に当って散り敷く音を聞くばかりで、誰とて自分の家を訪ねて呉れるものがありません。かねちゃんは、泣きあぐんで、少し気が労れて、火もない囲炉裏の傍で、まりの温かいむくむくとした毛の中に可愛らしい頬を埋めて、居眠りをしたのであります。

その時、誰やら、ことことと戸を叩くものがありました。かねちゃんは知らずに眠ています。またことことと叩くものがあります。かねちゃんはやっと眼を醒ましますと、一人の白い髭のあるお爺さんが、目の前に提燈を点けて入って来ました。そして黙って、手招ぎしますもんですから、かねちゃんは猫を抱いたままで、お爺さんの傍へ怖る怖る参りますとお爺さんは、柔和かに笑顔を見せて、黙って、手招ぎして来い来いと言うのであります。