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こうじょうさいぼう

工場細胞

小林 多喜二

小林多喜二『工場細胞』。同一底本的分册已合并为一书。收入:工場細胞、独房、母たち。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 91,234 字 · 184 页

青空文庫

――へえ、済みませんね、エミちゃんのお尻でなくて。

――抱くにも、抱かれぬッてとこだな。ハハヽヽヽヽヽ。

その後で、皆は手拭を首にまきつけて、つッ立ったり、白い角の浮石鹸を手玉にしたり、待っていた。

――こん畜生、だまってるとえゝ気になりやがって、棒杭じゃないんだど。

と、云われた奴が石鹸で顔中をモグモグさせながら、

――へえ、何時人間様になったかな。俺はまた職工さんだとばかり思っていたが!

見当ちがいの方を見て、云いかえした。

申訳程の仕切りがあって、女工たちの洗面所がすぐ続いていた。洗面所にしゃがむと、女工たちの腰から下が見えた。職工たちは腰から下だけの「格好」で、誰が誰かを見分けるのに慣れていた。顔を何時までも洗っている振りをして、職工たちはそれを見ていた。

――あの三番目が「モンナミ」の彩ちゃんだど。

工場では、Y市の有名なカフエーやバーのめずらしい名前をとってきて、「シャン」な女工を呼んでいる。

――どうだいあの腰の工合は!

――あいつ、この頃めっきり大人になってきたぞ。フン!

――腰がものを云うからな。

――こっちは誰だ?

――おッと、動いたぞ。