轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ていてんをみざるのき

帝展を見ざるの記

寺田 寅彦

「中央美術」1920(大正9)年11月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,664 字 · 16 页

青空文庫

前者の例は差控える事にして、後者の例を試みに昨年の帝展から取ってみると、例えば「雪」という題で、二曲屏風一双に、枯枝に積った雪とその陰から覗く血のような椿とを描いたのがあった。描き方としては随分重苦しく厚ぼったいものである。軽妙な仕上げを生命とする一派の人の眼で見ればあるいは頭痛を催す種類のものかもしれない。それだけに作家の当該の自然に対する感じあるいはその自然の中に認めた生命が強い強度で表わされていると思った。それからまた「清水」と「高瀬川」という題で、絵馬か覗きからくりの絵からでも進化したような絵があったが、あれにもやはり無限に近づこうとする努力の第一歩がないとは云われなかった。それからゴーホを煮しめたとでも云ったしょうな「深草」や、田舎芝居の書割を思い出させる「一力」や、これらの絵からあらを捜せばいくらもあるだろうし、徒らに皮相の奇を求めるとけなす人はあるだろうが、しかし何と云ってもどこか吾人の胸の奥に隠れたある物、ある根強い要求に共鳴をさせるところがありはしまいか。感覚的な外観の底にかくれた不可達の生命をつかもうとする熱望衝動が同じ方向に動こうとする吾々の心にもいくぶんかの運動量を附与しないだろうか。