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ばくまついしんかいこだん

幕末維新懐古談

高村 光雲

63 佐竹の原へ大仏を拵えたはなし

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,640 字 · 15 页

青空文庫

此所をこうといい附けても間に合わないという風で、私は大いに困りましたが困ったあげく、芝居の道具方の仕事をやっている或る大工を伴れて来て、これにやらせて見ますと、なかなか気が利いていて役に立ちます。私はこの大工を先に立てて仕事を急ぎました。

それで、私はよすどころでなく毎日仕事場へ行かねばならなくなった訳であります。が、毎日高い足場へ上って仕事師、大工たちの中へ這入って仕事をしていますと、なかなかおもしろい。面白半分が手伝って本気で汗水を流して働くようになりました。今日では思いも寄らぬことですが、まだ歳も若し、気も旺んであるから、高い足場へ上って、差図をしたり、竹と丸太を色々に用いて頤などの丸味や、胸などのふくらみを拵えておりますと、狭い仕事場で小仏を小刀の先で弄っているとはまた格別の相違……青天井の際限もない広大な野天の仕事場で、拵えるものは五丈近い大きなもの、陽気はよし、誰から別段たのまれたということもなく、まあ自分の発意から仲の善い友達同士が道楽半分にやり出した仕事ですから、別に小言の出る心配もなし、晴れた大空へかんかんと金槌の音をさせて荒っぽく仕事をするので、どうも、甚だ愉快で、元来、罷り間違えば自分も大工になるはずであったことなど思い出して独りでに笑いたくなるような気持にもなったりしたことであり