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へいげんのきととり
平原の木と鳥
小川 未明
「黒色戦線 第2次」1931(昭和6)年9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,473 字 · 7 页
それは、白い雲の、あわただしく流れる日でした。この雄のほおじろは、このあいだから、つけねらっていた町の鳥刺しのために、すこしの油断を見すかされて、ついに捕らえられてしまいました。
もう、翌日から、ふたたび彼のさえずる声をきくことができなかった。
「きょうは、あのほおじろが鳴かないが、どうしたろうか?」
百姓たちは、なんとなく、もの足りなく思いました。そして、腰を伸ばして、あちらのはんのきの方をながめたのです。
どこからともなく、ひばりの声がきこえてきました。ちょうど、このとき、雄のほおじろを失った雌のほおじろは、ひとりやぶのしげみで悲しんでいました。
彼女は、やがて、産まれる子供たちのために、自ら巣を造らなければならなかった。
「どこがいいだろう……。私は、子供をたいせつに育てなければならない。子供たちが、大きくなるまでは、いくら悲しくても、また、気があせっても、どこへもゆくことはできない。」
雌のほおじろは、うつぎの木の花が咲く、やぶの中に巣を造りました。そして、その中へ、かわいらしい卵を三つ産み落としたのです。彼女の仕事は、これらの卵を、りっぱなほおじろにかえすよりほかにはなかったのであります。