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こうふくについて
幸福について
宮本 百合子
「婦人画報」1946(昭和21)年5月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,007 字 · 18 页
それから、人間は、いろいろな不幸な目にあうようになったが、その源を考えて行くとパンドーラが箱の蓋を開けたとき、同時にたくさんの病気とか、たくさんの悲しみとかいうものが、箱から溢れ出たからだということが、パンドーラの話に云われているのです。
それから、ずうっと社会が進んでまいりましてから、聖書の書かれた時代、あの時代になりますと、アダムとイヴの話があります。
これによりますと、アダムとイヴの二人の人間が作られたことになっております。そして、この二人の人間は禁断のこのみを食べたため、神の怒りによって楽園から追払われました。
それから人間は、何処かに楽園があるわけだと考えるようになりました。そこでは、人間はみんな平等であり、花は爛漫と咲きほこり、人情はあたたかくて生活しよく、大変美しく楽しい、そこがエデンの園であるということになって、これが、聖書の基本になっているのであります。その楽園を失ったものとして人間の幸福というものが、話されているのです。けれど、この天上の楽園というものが特に幸福のシムボルとして考えられるについては、いろいろな問題があります。なぜかと申しますと、楽園というものの根本条件は、人間の平等ということです。