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かんとんねぎ
広東葱
国枝 史郎
「講談雑誌」1921(大正10)年9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,425 字 · 15 页
た事――その夜起った殺人事件――死骸に傷の無かった事――二人で浅草へ行った事――新井君が蛇のいない檻の前で暫く佇で居った事――それから事務所へ行った事――道で刑事に逢った事――新井君がボーイの放免を前夜に既に予言した事――果して今日予言通りボーイが放免された事――そのボーイは被害者が生きている時絶えず穿めていたダイヤの指環を自分の指に穿めていた事――。
事柄はざっとこれだけである。
「誰が一体犯人だろう?」
どう考えても解らなかった。自分は待遠しい心持で新井君の来るのを待っていた。
夜遅く新井君は訪ねて来た。
「僕の予言は当ったね」
新井君はすぐに自慢した。
「どうして君は知ったんだい? ボーイが放免されるってことを?」
「知っているわけさ、この僕自身が、ボーイを放免したんだもの……がまあそんな事はどうでもいいよ。そんな事より素晴らしいものを今夜は君に見せてやろう」
「何んだい夫れは」と訊き返えすと、
「即ち宗社党の留学生達が、ある建物へ集って、密議をしているその有様を、君に見せようと思うのさ」
「いよいよこいつは面白くなった」
「それでは一緒に出かけよう」
自分達は深夜の町へ出た。