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かんとんねぎ
広東葱
国枝 史郎
「講談雑誌」1921(大正10)年9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,425 字 · 15 页
二
「別嬪?」とボーイは不思議そうに「いいえ、別嬪、居りましえん」とアクセントの違った日本語で云った。
「何んの居ないことがあるものか。確に僕は見たんだよ」
するとボーイはもう一人の美少年のボーイと眼を見合わせたが、
「いいえ、別嬪さん、居りましえん」と同じ返事を繰り返した。
その晩に限って新井君は容易に帰えろうとしなかった。午前一時の時計が鳴ると、ボーイ達は店を片付け出した。その時ダイヤの指環を穿めた例の留学生が這入って来た。と直ぐ例の美少年ボーイは留学生の傍へ飛んで行き、暫く何か囁くと留学生は深く頷きチラリと料理場を盗み見た後、再び戸口から立ち去った。
「勘定!」と突然新井君が云った。美しいボーイが飛んで来て「四円五十銭」と計算した。
ボーイが勘定を受取って帳場の方へ行きかけるのを不意に新井君は呼び止めた。そうして五十銭の銀貨を握り、
「チップだ、遣ろう!」と云い乍ら膝の辺を眼がけて投げつけた。ボーイは吃驚して腰を曲げ危く銀貨を受け取った。
「さあ帰えろう」と新井君は満足そうに微笑した。
二
翌日自分は床の中で朝刊を開らいて読んでいた。社会面にこういう記事があった。