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かんとんねぎ

広東葱

国枝 史郎

「講談雑誌」1921(大正10)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,425 字 · 15 页

青空文庫

中店を一寸右へ這入ると其処にバラックの小屋があった。

自分達は其処へ這入って行った。曲馬と八木節と軽業と、次々に行う曲芸を二人は笑い乍ら見ていたが、俄に新井君は舌打ちをして、

「面白くないから出ようじゃ無いか」と先へ立って小屋の外へ出た。

活動小屋のある方角へ自分達はブラブラ歩いて行った。

「花屋敷へ這入ってみようじゃないか」

そう云って新井君は這入って行った。二人は園内を彷徨った。

「蛇って奴は無気味だね」

蛇の檻の中をすかして見て新井君は忌わしそうに呟いた。

大きい檻の横の方に小さい檻が出来ていたが中には蛇がいなかった。

「その檻には蛇が居ないようだね」新井君はその前で立ち止まった。

自分達は尚もブラツイた。

「君ちょっと待っていてくれたまえよ。僕ちょっと事務所へ行って来るからね」

新井君は自分を置き去りにして事務所の方へ走って行った。

間もなく新井君は帰って来たがその顔はニコニコ笑っていた。

「そろそろ家へ帰えろうかね」

で又新井君が先に立ち花屋敷を脱けて外へ出た。そして電車へ飛び乗った。

「何のために事務所へ行ったんだい?」

「一寸ばかり聞くことがあったからさ」