轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

こころのかわ

心の河

宮本 百合子

「改造」1924(大正13)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,442 字 · 37 页

青空文庫

愛している、愛しているって、百万遍お互に誓い合ったって、心の観音開きがいつでも行き違ってプカプカしていて、貴方平気? 平気でいらっしゃれるの?」

さよは、せめてここで「いや、そんなことでは堪らない。そんなことをしては置けるものか!」と云って欲しかった。彼女は、その一言で、心半分は助かっただろう。彼女は、どこかでぴったり、率直な、むき出しな保夫の心にぶつかりたかった。それを願うばかりに、多くの言葉も費すのに、彼は、驚くべき冷静さで云った。

「それは君の想像だよ。――君ばかりが、閑にあかして捏ねあげたものの証拠には、見給え」

彼は、凱旋者のような眼に微笑さえ湛えて云った。

「現にこうやって一つ家に生活している僕が一寸も感じていないことじゃあないか」

さよは、我知らず、

「独断家!」

と叫んだ。

「貴方、よくそんな! 自分の判るだけしか人生は、人間の心はないと思っていらっしゃるの?」

「亢奮しない方がいい。――而も、僕は君にとって、決してあかの他人だとは思っていない。少くとも良人だ。良人である自分に、君の……妻である者の大切な心持が判らない筈がないじゃあないか。それだのに、低能でもない僕に感じられないとすれば、気の毒だが、君の方が根拠が薄弱だ」