轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんりしけん

心理試験

江戸川 乱歩

「新青年」博文館、1925(大正14)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,728 字 · 46 页

青空文庫

この事件を担当した予審判事は、有名な笠森氏であった。彼は普通の意味で名判事だったばかりでなく、ある多少風変りな趣味を持っているので一層有名だった。それは、彼が一種の素人心理学者だったことで、彼は普通のやり方ではどうにも判断の下し様がない事件に対しては、最後に、その豊富な心理学上の智識を利用して、屡々奏効した。彼は経歴こそ浅く、年こそ若かったけれど、地方裁判所の一予審判事としては、勿体ない程の俊才だった。今度の老婆殺し事件も、笠森判事の手にかかれば、もう訳なく解決することと、誰しも考えていた。当の笠森氏自身も同じ様に考えた。いつもの様に、この事件も、予審廷ですっかり調べ上げて、公判の場合にはいささかの面倒も残っていぬ様に処理してやろうと思っていた。

ところが、取調を進めるに随って、事件の困難なことが段々分って来た。警察署等は単純に斎藤勇の有罪を主張した。笠森判事とても、その主張に一理あることを認めないではなかった。というのは生前老婆の家に出入りした形跡のある者は、彼女の債務者であろうが、借家人であろうが、単なる知合であろうが、残らず召喚して綿密に取調べたにも拘らず、一人として疑わしい者はないのだ。