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しんりしけん
心理試験
江戸川 乱歩
「新青年」博文館、1925(大正14)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,728 字 · 46 页
五
蕗屋は考えるに随って、段々安心して来た。何だか鼻唄でも歌い出したい様な気持になって来た。彼は今は却って、笠森判事の呼出しを待構える様にさえなった。
五
笠森判事の心理試験が如何様に行われたか。それに対して、神経家の斎藤がどんな反応を示したか。蕗屋が、如何に落ちつきはらって試験に応じたか。ここにそれらの管々しい叙述を並べ立てることを避けて、直ちにその結果に話を進めることにする。
それは心理試験が行われた翌日のことである。笠森判事が、自宅の書斎で、試験の結果を書きとめた書類を前にして、小首を傾けている所へ、明智小五郎の名刺が通じられた。
「D坂の殺人事件」を読んだ人は、この明智小五郎がどんな男だかということを、幾分御存じであろう。彼はその後、屡々困難な犯罪事件に関係して、その珍らしい才能を現し、専門家達は勿論一般の世間からも、もう立派に認められていた。笠森氏ともある事件から心易くなったのだ。
女中の案内につれて、判事の書斎に、明智のニコニコした顔が現れた。このお話は「D坂の殺人事件」から数年後のことで、彼ももう昔の書生ではなくなっていた。
「却々、御精が出ますね」