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あやしのやかた

怪しの館 短編

国枝 史郎

国枝史郎『怪しの館 短編』。同一底本的分册已合并为一书。收入:怪しの館、一枚絵の女、犬神娘、開運の鼓、猿ヶ京片耳伝説、日置流系図、北斎と幽霊。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 81,915 字 · 165 页

青空文庫

いよいよ物騒、うっちゃっては置けない。葉末とかいう娘のため、ここの庭から駆り出してやろう」

ソロソロと進むと滝の前へ出た。

そこをよぎると林である。蘇鉄が十数本立っている。

と、その蔭から声がした。「これは結城氏結城氏、さっきは平打ち、いただいてござる。で、お礼! まずこうだ!」

ポンと人影飛び出して来た。キラリと夜空へ円が描かれ、続いて鏘然と音がした。パッと散ったは火花である。切り込んで来た敵の太刀を、抜き合わせた結城旗二郎、受けて火花を散らしたのである。

二人前後へ飛び退いた。

「お見事」と敵の声がした。「が、もう一人ご用心! ご免」

というと消えてしまった。

蘇鉄の頂きが光っている。月があたっているかららしい。

「ふざけた奴らだ」と旗二郎、気を悪くしたが仕方なかった。庭は宏大、地の理は不明、木立や築山が聳えている。どこへ逃げたか解らない。追っかけようにも追っかけようがない。

「よし」と旗二郎決心した。「もう一人出るということだ。今度こそ遁がさぬ、料理してくれよう」

だがその企ても駄目であった。

というのは旗二郎抜き身を下げ、用心しながら先へ進み、竹藪の前まで来た時である、竹藪の中から声がした。