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あやしのやかた

怪しの館 短編

国枝 史郎

国枝史郎『怪しの館 短編』。同一底本的分册已合并为一书。收入:怪しの館、一枚絵の女、犬神娘、開運の鼓、猿ヶ京片耳伝説、日置流系図、北斎と幽霊。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 81,915 字 · 165 页

青空文庫

つまり私の役目といえば、用心棒に過ぎなかったので。原因は四ヵ条を書き記した、張り紙なのでございますよ。で、それからいうことにしましょう。(一)養女と良人と結婚すれば、財産は官へ寄附する事(二)養女が二十歳になるまでに、養女が死ぬか良人が死ぬか、ないしは二人死去するか、そういう場合には財産は、全部情人が取るべき事(三)養女満二十歳になった瞬間、その養女が誰かと結婚すれば、財産は養女と良人とが、半分ずつ分けて取るべき事(四)養女が二十歳になるまでに、良人が他の女と結婚すれば、財産は情人と養女とが、半分ずつ分けて取るべき事。――というのが四ヵ条の箇条書きなので。そうしてこれを書いたのは、養女――すなわち葉末さんですが、その葉末さんの養母であり、そうして三蔵琢磨氏の家内、陸女という女だということで。情人というのは他でもない、花垣志津馬という武士なのだそうで。遺言状だったのでございますよ。陸女の死ぬ時の遺言状だったので。その陸女という女ですが、ある札差しの家内でしてな、大変な財産を持っていたそうで。そうして後家さんになってから、琢磨氏と同棲したのだそうで。