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かいとうおう

怪塔王

海野 十三

「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页

青空文庫

しかしながら、ふもと村からこの山の中まで、村人にえっさえっさとあがってきてもらい、また山をおりて、塩田大尉のところへ使にいってもらうのはどう考えても二重の手間だとおもいましたから、なにかほかに、いい通信のやりかたがあるまいかとおもい智恵袋をしぼってみました。

そのとき、一彦の目にうつったものがありました。

それは炭やき爺さんの、そこにつくってあった炭焼竈でありました。

「うん、これはいいものが目にとまった」

と一彦少年はおもわずひとりごとをいい、炭やき爺さんをよびました。

「いいものがあったよ。これならふもと村へ通信することなんか、わけなしだ」

「えっ、それはなんのことだね」

「あの炭焼竈のことさ。あれに火をつけると煙突から煙がむくむくでてくるだろう。そのとき風呂敷か板片かをもって屋根にのぼり、煙突から出る煙を、おさえたり放したりするのさ、それを早くくりかえせば、煙突から短い煙がきれぎれに出てくるだろう。またそれをゆっくりやれば、長い煙がきれぎれになって出てくるだろう。つまり煙でもって、短い符号と長い符号とをだすことができるから電信と同じように、モールス符号を出すことができるのさ。