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かいとうおう

怪塔王

海野 十三

「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页

青空文庫

怪老人

1

怪塔王という不思議な顔をした人が、いつごろから居たのか、それは誰も知りません。

一彦とミチ子の兄妹が、その怪塔王をはじめてみたのは、ついこの夏のはじめでありました。

そこは千葉県の九十九里浜というたいへん長い海べりでありました。一彦は中学の一年生であり、ミチ子は尋常の四年生でした。二人は夏休がはじまると、まもなくこの九十九里浜へまいりました。

二人はたいへんふしあわせな兄妹で、小さいときに両親をうしないました。そののちは、帆村荘六という年のわかいおじさんにひきとられ、そこから東京の学校にも通わせてもらっていました。

帆村荘六というと、ご存じのかたもあるでしょうが、有名な青年探偵です。帆村探偵という名は、きっとどこかでお聞きになったでしょう。荘六おじさんは機械のことになかなかくわしい人です。理学士だそうですからね。

荘六おじさんは、夏休をむかえた兄妹を、この九十九里浜にある別荘へ遊びにやってくれました。

九十九里浜は、なかなか景色のいいところです。そして実にひろびろとしたところで、さびしいくらいのものです。

怪塔王に出会ったのは、一彦とミチ子がここへきてから、二三日のちのことでありました。