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かいとうおう

怪塔王

海野 十三

「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页

青空文庫

「うん、僕はね、塩田大尉と約束がしてあるんだよ」

「約束ってどんなこと」

「約束というのはね、僕を大利根博士のところへつれてってくれると言うことだよ。しかしこのことは、他人に言っちゃいけないよ。帆村おじさんが怒るからね」

そう言っているところへ、当の塩田大尉が軍装もりりしく病室へはいって来ました。

出発

1

「ああ塩田大尉」

「おお一彦君か。おやミチ子さんもいるね。二人ともうれしそうだな――一彦君、よろこびたまえ。今院長さんに聞いて来たんだが、君の傷はもう大丈夫だそうだよ」

三人は、声をあわせてうれしそうに笑いました。

「塩田大尉、僕と約束のこと忘れていませんね」

「え、約束。うむ、あのことか。しかしあのことはまあ、僕にまかせておいて――」

「いやだなあ、あんなことを言っている。僕はどんなにか待っていたんですよ。ぜひお伴させてください。それが帆村おじさんを救う近道のように思うんです」

塩田大尉は、しばらく無言でいましたが、やがてミチ子に向かい一彦をつれていってもいいかと尋ねました。ミチ子はもちろんそれに賛成しましたのでそれならばと塩田大尉は立ちあがりました。