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かいとうおう
怪塔王
海野 十三
「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页
塩田大尉がなにかかわったものを見つけたらしいので、一彦少年は、胸をわくわくしながら、そこへかけつけました。
すると大尉は、テーブルのうえにのっている蓄音機のようなものを指さしていました。
「これ、なんでしょう」
「おお一彦君。これは蓄音機だよ。しかし普通の蓄音機とちがう。これはね、こっちから大利根博士の名をよぶと、ひとりでに音盤が回りだして、蓄音機から声が出る仕掛になっているんだ」
「えっ、なんですって」
「君にはわからないかねえ。つまりこの室内に大利根博士はいなくて、そのかわりにこの蓄音機が仕掛けてあったんだ。入口の外で博士の名を三度よぶと室内では音盤がまわりだして、“研究中だ、会わないぞ、帰れ帰れ”などと博士の声が、この蓄音機から聞えてくるのだ。だからこれを聞いた者は、室内に博士がいるのだと考える。ほんとうはこのように博士は留守なんだ。誰がこしらえたのか、たいへんな仕掛をこしらえてあったものだ。も少しで、うまくひっかかるところだった」
そういって塩田大尉は、機械のこっちから大利根博士の名をくりかえしよんでみましたところ、三度目になると、はたして蓄音機の中から(ああ、うるさい……)と、博士の声がとびだしてきました。