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かいとうおう
怪塔王
海野 十三
「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页
こっちへ顔を見せている、『顔』の怪塔王は、その両手を自分の顔にかけると、えいやと力をいれて、すぽりと顔を脱いだ。
顔を脱いだのである。
目、鼻、口、それから頭の髪の毛までそっくりついて、怪塔王の顔の皮はまるで、豆の皮を剥ぐようにくるくると剥がれたのであった。
ああなんといたいたしいことだ。
血?
さだめしたくさんの血がどっとふきだすこととおもわれたが、そうはならなかった。ただびっしょりと玉の汗をかいた帆村荘六の顔が、その下から現れた。
なんだ、マスクだったのか。
マスクにしては、なんと巧妙なマスクだろう。
帆村荘六も、このマスクを怪塔王の寝所の傍に発見したときは生首が落ちている! と思って、どきっと心臓がとまりそうになったほどである。しかもその生首は、外ならぬ怪塔王の首であったではないか。おどろきは二倍になった。
だがよくおちついて視察すると、生首とおもったのは、じつに巧妙なゴム製マスクであるとわかった。そのマスクも、普通のマスクやお面のように顔の前面をかくすばかりのものでなく、耳も、首も、頭部もすっかり隠してしまうし、頭髪さえちゃんと生えているものだった。