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かいとうおう

怪塔王

海野 十三

「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页

青空文庫

ちょうど、人間の手をすっかり隠してしまう手袋のような式に、喉のあたりから上をすっぽり包んでしまう別製マスクであった。それは質のいい生ゴムでつくられてあり、例の汐ふきのような顔になっており、そして生ゴムの表面は渋色に染めてあった。マスクの合わせ目は、耳のうしろの頭髪の中にあって、このごろよく見かける噛みあわせ式の金具の、特に小さくこしらえたものでかんたんに縫ったり裂いたりできるのであった。

2

怪塔王の巧妙なマスクを、三階の寝所で発見したときの帆村のおどろきは近頃にないものだったが、では生きている怪塔王の体はどこにあるのかと思って、あたりをみまわしたところ、その寝台の上からすうすうという寝息が聞えるので三度びっくりしました。

寝台を見ると、寝具はたしかに人間の体のかたちにふくれていた。しかし彼は頭を毛布の中にすっぽりうずめていました。

「さては、――」

と、帆村ははやくもぴーんと感じて、勇気をふるって寝台に近づくと、その下にある人の顔をのぞきこもうとして、そっと毛布をもちあげました。

「いまのが怪塔王のマスクであるとすれば、ほんとうの怪塔王はどんな顔をしているのであろうか」