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かいとうおう

怪塔王

海野 十三

「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页

青空文庫

ところが、こっちには向こうの大将が見えないんだから、喧嘩にならないじゃないか。あんなときには、こっちが弱虫で、すっかり腰をぬかしたように見せておくと、向こうは本当に自分が勝ったんだと思って安心するんだ。そこで向こうが油断をする、そこを覘って、こっちが攻めていく、どうだ、いい考だろう」

「へえー、では帆村おじさんは、それほど弱虫ではないんだね。そうとは知らなかったから、さっき僕は、がっかりしちゃったよ」

帆村はまたにやりと笑いました。

「さあ、そこで一彦君、こんどはいよいよ怪塔を攻める方法を考えるんだ。一体どうしたらあの塔の中にうまく忍びこめるだろうか」

「さあ――」

これには一彦も弱ってしまいました。

2

一体どういう風にやれば、あの怪塔の中にしのびこめるでしょうか。

あの聳えたった高い塔を、どこから攀じのぼればいいのでしょうか。

入口の扉には、錠がおりています。

いや、そればかりではないのです。塔の近くへよると、怪塔王はそれをすぐ知ってしまいます。なにしろ、塔の三階にいて、入口の附近の様子がありありと見えるテレビジョン機械をもっているのですもの。