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かいとうおう

怪塔王

海野 十三

「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页

青空文庫

怪塔ロケットを追うどころではありません。

2

「ずいぶん海上生活もしたが、こんな荒天にあったのははじめてだ」

小浜兵曹長は、篠つく雨の中に愛機を操縦して、海上すれすれに飛びつづけます。

「はて、ここは一たいどこの海面かしら」

太平洋であることはわかっていますが、太平洋といってもたいへんひろいですからねえ、コンパスを見ても、方角はわかりますが、自分が今いる場所まではわかりかねます。こういうときには、無線ビーコンというものを受信すると、ちゃんと今いる場所がわかるのです。無線ビーコンは、無電灯台というところから、その灯台の名を無電で送っているものなのです。

小浜兵曹長は、うしろの座席にある受信機のスイッチをいれました。そして受話器を、耳にあててみました。

ところが、いつまでたっても、受話器からはなんの音もはいって来ません。

「これは変だなあ。スイッチはちゃんとはいっているのに、なぜ聞えないのだろう」

いろいろとやってみましたが、どうしても聞えません。ざんねんながら、受信機は故障になっていることがわかりました。

「さあ弱った。今どこを飛んでいるんだか、さっぱりわからなくなったぜ」