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かいとうおう

怪塔王

海野 十三

「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页

青空文庫

われわれはいましばらくこのままに、塩田大尉や一彦少年や、それから今怪塔中におしこめられている帆村探偵や、それからまた例のふしぎな海辺に気をうしなっている勇士小浜兵曹長の活動を見まもることにいたしましょう。

「どうも私には、人の持っているものをさがすのは不得手だ。これはやはり帆村探偵の専門だよ」

と、艦隊の智慧ぶくろといわれる塩田大尉も、なれない室内さがしにややまいったようです。

「ねえ、塩田大尉、大利根博士は悪人なんでしょうか」

一彦少年は、戸棚の中に首をつっこんでいる大尉のうしろから、声をかけました。

この質問に、大尉はおどろいて、戸棚から顔をだしました。

「悪人? さあ、それが拙者にはどうもわからなくなったんだ。もともと博士は、じつに尊敬すべき学者だとおもっていたんだけれど、こうして家さがしをしているうちに、だんだん変な気持になって来る。そう言えば、いつか博士が軍艦に来られたときも、言葉づかいやたち居ふるまいが、どうも変だったね。変り者の博士とは言え、むかしはあれほどそわそわしていなかった」

2

塩田大尉と一彦少年との話は、この家の主人大利根博士の上にくらい影をなげかけたことになりました。