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かいとうおう

怪塔王

海野 十三

「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页

青空文庫

塩田大尉は、感心しました。

「なぜ、こんな秘密室がこしらえてあるのでしょうかねえ」

「さあ、どういうわけだろうね。帆村探偵がいればすぐわかるだろうに」

といって、塩田大尉は、室内をみまわしました。ここはがらんとした室で、なんにもおいてありません。

「なんにも物がおいてないというのは、へんだね」

「へんですね。秘密室の中を、わざわざ空部屋にしておくなんて、へんですね」

一彦は、少年探偵きどりでいいました。

血痕の行方

1

「塩田大尉。これは、やはりなんかもっとたいへんな仕掛があるのじゃないでしょうか」

と、一彦少年は、がらんとした秘密室内をみまわしながらいいました。彼はいつの間に覚えたか、帆村の探偵術をまねしているようです。

「うん、なるほど。じゃあ一彦君、君はそっちをさがしてみたまえ、私はこっちをさがしてみよう」

塩田大尉と一彦とは、左右にわかれて、室内をさがしはじめました。

一彦は、腰をかがめて、床をなめんばかりにして見てあるいています。すると彼は、床の上に、黒ずんだ点々が、ぽたりぽたりとついているのを発見しました。

「あっ、へんなものが――」