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かいとうおう

怪塔王

海野 十三

「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页

青空文庫

どっかに、その鍵がおちていないかなあ」

そういって大尉は、室内をまたきょろきょろみまわします。

一彦は、それには答えないで、じっとその大きな鍵穴をみつめていました。

3

お猿の面の下にある大きな鍵穴!

一彦少年は、しきりに考えています。

(どこかで、見たことのあるような鍵穴だが――)

そのうしろに、塩田大尉の靴音が、こつこつこつときこえてまいりました。

「ざんねんだなあ。どこにもそんな大きな鍵はおちていやしないよ、一彦君」

「あっ、そうだ!」

そのとき一彦は、とびあがって、さけびました。

「この鍵は、僕が持っています」

塩田大尉は、びっくりしました。

「えっ、なんだって。君がこの鍵を持っているって」

「そうです。いまやっと思い出しました。これはあのお猿の鍵がはいるのにちがいありません」

「なに、お猿の鍵だって」

「ええ、そうです。それはね、あの怪塔王が海辺におとしていった鍵なんです。僕はその鍵を型にして別の鍵をつくって持っていますよ、怪塔の入口も、その鍵であいたのです」

「そうか。ふうむ、それはたいへんな鍵だ。一彦君は、今それを持っているのかね」

塩田大尉は、息をはずませて、ききかえしました。