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かいとうおう
怪塔王
海野 十三
「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页
(どうも様子が変だぞ。油断はできない)
と、帆村ははっと身を起して、岩かげに身をひそめました。
すると、どうでしょう。岩の割れ目が、ぼーっと明かるくなって来ました。なんだか向こうで火が燃えているようです。はてな?
2
岩の割れ目の向こうが明かるくなったのは、なぜでしょうか。
帆村探偵は、岩かげに身をひそめ、目ばたきもせず、その方を見つめていました。
すると、やがて岩の割れ目から、手提灯が一つ現れました。それは、西洋の漁夫などがよく持っている魚油を燃やしてあかりを出すという古風な魚油灯でありました。
その魚油灯は、一本の腕に支えられています。
誰でしょうか?
すると、こんどは一つの頭が、割れ目の向こうに現れました。帆村探偵は、息をこらして、なおもじっと監視していました。
怪人物は、魚油灯を高くかかげて、岩窟のなかをしきりに照らしてみております。なかなか用心ぶかいやり方でありました。
帆村はそのとき、魚油灯に照らしだされた怪人物の顔を、はっきり見ることができました。
「あっ――」
なぜか帆村は、びっくりしました。岩をだいている彼の腕が、がたがたふるえるのが、自分にもわかったほどの驚きぶりです。