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かいとうおう
怪塔王
海野 十三
「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页
「ほほう、すると怪塔王は逃げたのでしょうか」
「いや、そうではないよ」と博士はつよく首をふって、「怪塔王の体は一たん岩にあたってから、勢あまってはねあがり、ざんぶと水中におちたのだ.あそこは、とても逃げられるようなところではない。尖った岩の間を縫って、冷たいまっくろな海水が、渦をまいて行ったり来たりしている。この世の地獄みたいな洞穴なんだ。怪塔王とて、とても助りっこはないのだ」
博士は、怪塔王の死をかたく信じている。
帆村探偵は、大きくうなずき、
「なるほど、そこに見える岩の割れ目のむこうは、そういう恐しいところなのですか。しかし悪運つよい怪塔王のことですから、ひょっとするとふしぎに一命を助っていないものでもありません。これから僕は谷底へ下りて、怪塔王の死体が浮いていないか、調べてみます」
滑る断崖
1
帆村探偵は、あくまで怪塔王の死をつきとめる決心でありました。いま大利根博士の語ったところによると、怪塔王は岩の上に落ちて体をひどくうち、それからまっくろな海水が渦をまいている淵へおちたといいますが、帆村は、一応どうしても自分でしらべる気です。