轻松读懂日语经典作品
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かいとうおう
怪塔王
海野 十三
「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页
もう駄目です。帆村探偵の一命は、風前の灯火も同様です。殺人光線が帆村の方にむけられ、そしてボタンがおされると、もうすべておしまいです。
帆村が岩礁のうえに腹匐いになっていたのは、毒ガスからすこしでものがれるためでありました。下には荒潮がぼちゃんぼちゃんと岩を洗っていまして、そこにすこしばかりの風が起っていました。だから重い毒ガスは、下に溜ろうとしても、波のためにあおられ、吹きあげられてしまいます。そしてどこを潜って来るのか、一陣の風がすうっと吹いて来るのです。どこまでも沈着な帆村探偵は、こうしたわずかの安全地帯をもとめて、辛うじて息をついていたのに、いまや大利根博士の持つ殺人光線灯が、最後のとどめを刺そうと狙っています。
不意に帆村は、ぽんと蹴られました。
「あ、痛!」
思わず彼は、声を出してしまいました。
「ふふふ、まだ生きていたか。いよいよ殺人光線灯を食って、往生しろ!」
「待て! 最後に、ちょっと聞きたいことがある」
「なんだ。早く言え」
「貴下は大利根博士ですか、それとも怪塔王ですか」
「そんなことは、どっちでもいい。ほら、もう念仏でも唱えろ」
もう余裕はありません。