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かいとうおう
怪塔王
海野 十三
「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页
すると肩が檻の向こうへ出ました。つづいて手が出ました。
「もう大丈夫!」
あとはするりと向こうへぬけ出ました。
「おじさん、抜けられたよ。おじさんも出られないかなあ」
と、一彦は鉄格子につかまって、帆村の方をのぞきこみました。
そのときです、鉄の檻が、がたんとうごきだしたのは。
それはきっと一彦が檻を出るときに、うれしさのあまり檻を足で蹴ったので、その震動が怪塔王の耳にはいり、鉄檻に隙間があってよく下りきらないのを知ったため、檻をむりにも下に下そうとしているのでありましょう。
丸太ん棒がみしみし鳴りだしました。鉄の檻が力一杯丸太ん棒を圧しつけ、これをくだこうとしているのです。
しかし丸太ん棒です。上から圧すのは鉄の檻にしろ、そうかんたんにくだけるはずがありません。めきめきという音がするばかりで、一向隙間は狭くなりません。
「一彦君、その棒の向こうの端をもって、力一杯おこしてみないか。隙間がもうすこし大きくひろがるかもしれないから」
さすが帆村探偵です。たいへんいいところに気がつきました。
一彦は檻の外へ長く出ている丸太ん棒の端をもって、ううんと力一杯もちあげてみました。