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かいとうおう

怪塔王

海野 十三

「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页

青空文庫

(どうしよう?)

と、一彦は帆村にしがみつきました。帆村は彫刻のようにかたくなって、怪塔王をにらみつけています。

「ちょっと待て」

と、帆村は怪塔王に声をかけました。

「なんだ、青二才、命がおしくなったか」

「いや、お前こそ気をつけろ。いま時計を見ると、丁度この塔へむかって、わが海軍の巨砲が砲撃をはじめる時刻だ。お前こそ命があぶないのだぞ」

「えっ――それは本当か」

「本当だとも。そんな手筈がついていなければ、僕たちのような弱い二人で、なぜこんなあぶない塔の中へはいりこむものか」

5

怪塔が軍艦淡路から砲撃されると聞かされ、怪塔王はおどろきました。

「ああ砲撃される。そいつは気がつかなかった」

そういったおどろきの言葉は、ほんとうに怪塔王の腹の底から出たものと見えました。

帆村と一彦とをそこにのこしたまま、怪塔王はあわてふためき、階上にかけあがってしまいました。

怪塔王はいま三階の自室にかえって、しきりに妙な機械の中をのぞいています。それは巧妙な地中望遠鏡でありました。地中にいてそれで地上がよく見えるという機械でありました。

これは潜水艦の潜望鏡みたいなもので、光の入口は怪塔の近くにある欅の木の高い梢のうえにありました。