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かいとうおう
怪塔王
海野 十三
「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页
そして天へむかって、ものすごい速さでびゅうびゅう飛んでいくのでありました。
「一彦君、これはたいへんだ。僕たちはいま空中をとんでいるのだよ」
「えっ、空中をとんでいるの。やはりそうだったの。僕は頭がなんだかぼんやりしてしまった」
といったのも道理です。二人のとじこめられた怪塔は、いま空中を弾丸のようにとんでいくのでありました。今まで塔だとばかり信じていたのは、普通の塔ではなかったのです。空中を飛行機よりも早く走るといわれるあのロケット機であったことがわかりました。
3
いま帆村探偵と一彦とは、怪塔ロケットに閉じこめられたまま、思いがけない空中旅行をしています。
怪塔ロケットを操縦しているのは、いわずと知れた怪塔王です。
一たい怪塔王のほんとうの名前はなんというのでありましょうか。まだだれもそれを知りませぬ。
このロケットというのは、だいたい砲弾に尾翼を生やしたようなかたちをした飛行機の一種です。飛行機とちがうところは、飛行機にはプロペラがあるのに、ロケットにはそれがありません。したがってロケットにはエンジンもありません。ではどうしてこのロケットが空中を走るかと申しますと、それはロケットのお尻の方に穴があいていて、その穴からはげしくガスがふきだすのです。