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かいとうおう

怪塔王

海野 十三

「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页

青空文庫

「そうだ、横須賀の軍港へ下りるように、この塔をとばしてくれ」

「へえ、横須賀軍港! それはあぶない」

黒人は、横須賀軍港と聞いて、顔色をかえました。

4

「横須賀の軍港とは、ワタクシおどろきます」

と、円筒のなかの黒人は、大きなためいきとともに、怪塔王にあわれみを乞うように言いました。

もう一人の黒人もふるえごえを出して、

「横須賀の軍港へこの塔をもっていくと、ワタクシたちまるでわざわざ虜になりにいくようなものです」

のこりの黒人は、ただひとり元気よく、

「いや、そんなことはない。横須賀軍港であろうが何であろうが、わが塔のほこりとする磁力砲でたたかえば、軍港なんかめちゃめちゃだ。ワタクシ、心配しない。オマエたちも心配することはない」

と胸をはって、さけびました。

「いや、なかなか心配ある。軍港には、大砲ばかりでない。日本水兵なかなかつよいよ。それが塔の中へはいってくる。磁力砲では人間をふせぎきれない」

「そのときは、殺人光線でもって水兵をやっつける」

「だめだめ。殺人光線は、かずが一つしかない。大ぜいの水兵がせめてくると、殺すのがなかなか間にあわぬ」

「いや、だめでない」