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かいとうおう

怪塔王

海野 十三

「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页

青空文庫

塩田大尉は、偵察機隊をひきいて雲間をぬいつくぐりつ、怪塔ロケットのあとをおいかけました。

小浜兵曹長は、大尉のかたわらにすりよって戦をはじめるのに都合のよいときをねらっています。

「おい小浜、わが機はもう全速力をだしているのだろうな」

「はい、塩田大尉、速力はもういっぱいだしております」

「そうか。はやく追いつかないと、夜になってしまう。すると、さがすのに面倒だ」

「は、こんどは何としても追いついて、体当りで撃墜したいものだと、私は考えております」

「うむ、俺も同感だ。俺はこっちの機体を怪塔ロケットの尾翼にぶっつけて、舵をこわしてやろうと考えている。舵をうしなえば、いくら怪塔ロケットだって飛ぼうと思っても飛べないではないか」

「なるほど、それは名案ですな。よろしい、私はうんとがんばりますよ」

塩田大尉はさすがに隊長だけあって、すぐれた考をもっていました。しかし、相手の舵を体あたりでこわすのだと一口にいっても、じっさいこれをやるのはなかなかたいへんなことです。うまくいくでしょうか。

怪塔ロケットは、急に頭を上にむけてぐんぐんと天にのぼっていきました。そうかと思うと、また急に舵をまげて南の方に走りだしました。