轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
かいむ
怪夢
夢野 久作
「文学時代」1931(昭和6)年10月、「探偵クラブ」1932(昭和7)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,100 字 · 23 页
硝子世界
オジサンはチャント知っていらっしゃるでしょ」
という可愛らしい、悲しい女の児の声が一番最後にきこえて来た。七本のまん中にある一番丈の低い袋の中から洩れ出したのであろう……。あとはピッタリと静かになって、スッスッという啜り泣きの声ばかりが、海の水に沁み渡って来た。
私は棒立ちになったまま動けなくなった。だんだんと気が遠くなって来た。信号綱を引く力もなくなったまま……。
私が、その張本人の水夫長だったのだ……。
……どこかで、お寺の鐘が鳴るような……。
硝子世界
世界の涯の涯まで硝子で出来ている。
河や海はむろんの事、町も、家も、橋も、街路樹も、森も、山も水晶のように透きとおっている。
スケート靴を穿いた私は、そうした風景の中心を一直線に、水平線まで貫いている硝子の舗道をやはり一直線に辷って行く……どこまでも……どこまでも……。
私の背後のはるか彼方に聳ゆるビルデングの一室が、真赤な血の色に染まっているのが、外からハッキリと透かして見える。何度振り返って見ても依然としてアリアリと見えている。家越し、橋越し、並木ごしに……すべてが硝子で出来ているのだから……。