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かいきじんぞうとう

怪奇人造島

寺島 柾史

「日本少年 付録」1937(昭和12)年8月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 43,159 字 · 87 页

青空文庫

それが磁石に吸いつけられるように、かなりの速力で氷山に近づいているのだ。

「こいつは剣呑! あの氷山に正面衝突してみろ、鯨諸共、僕の身体も木葉微塵になるだろう」

さすがの僕も、今度こそは、怖ろしくなって眼を瞑った。氷山と鯨は、刻々にその距離を狭めていくようだ。万事休矣?

人造島の秘密

あくる朝、僕は、病室とおぼしい、明るい室の、寝台のうえで眼を醒した。僕の身体は、ぐるぐる巻に繃帯が施されてある。きのうの朝、鯨の屍骸に跨ったまま、潮流に押流され、急速力で氷山に近づき、ドカンと衝突したまでは覚えているが、そのとき、氷山の一角に五体を強く打突けて人事不省に陥ったまま、この病室に運ばれたものとみえる。

「それにしても、ここは一体、何処だろう。氷山に、こんな立派な病室があるわけはないし……」

僕は、夢見心地で、寝台を降りて、ふらふらと室内を歩き廻った。

窓から、朝陽がいっぱいに差込んでいる。戸外からみると、おどろいた。やっぱり氷山、というよりか、氷の陸地である。平坦な氷の島のうえに、白堊の家が建っているのだ。その一室が、病室になっている。いや、白堊の家だけではない、工場もあるし、動力所とおぼしい建物もあるし、飛行機の格納庫さえある。